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Essay

MAY 1o, 2o2o
Essay

”随筆”


文章を目的に本を手に取る時、小説もよいですが、選択する率は断然エッセイが多いです。
たまに、本屋さんで「なにか読みたいな」とぶらぶらして、目的なく本を探すこともありますが、
たいていは、興味を持っているジャンルを探したり、興味ある人の書いているものを探したりします。

そんなチョイスでたまってきた本がアトリエやギャラリーのあちこちに片付けられているのですが、
その本たちを、一箇所にまとめようとしています。
その途中で、この本が出てきて、懐かしいなあ、と手が止まりました。
(そんなんばかりで一向に片付けが進みませんが…)

山本容子さんの版画がすごく好きでした。
エッチングの細い線に、淡くて色のトーンが独特の水彩で描かれた世界観が、
どこかシニカルのようで、でも実は温かで、オトナの世界を覗いているようで。
まだ自分に子供がいなかった若かりし頃、たしか熊本で数回展示があったように思いますが、
観に行って穴が開くかと思うほど、まじまじと版画を眺めたのを覚えています。
この画集のようなエッセイとともに、彼女の特集が組まれた美術手帖やSWITCHも、
買って読んでは、クリエイティブであり、大人の女性を感じた山本容子さんの
日常を垣間見ることが出来て、とても楽しかったのです。

エッセイは、自分の知らない世界のハレの部分にフォーカスされたものではなく、
ケである日常を、こっそり教えてもらう感覚に近くて、それでいて日常のようで日常でないような、
なにかを生み出す人の想いや普段の考えを楽しめるのが醍醐味なのではと思います。

それにしても、なんで山本容子さんの版画が好きになったんだっけ…と思い返していたら、
思い出しました。きっかけは吉本ばななさんの「TUGUMI」でした。
まだ社会人なりたての頃くらいに買った吉本ばななさんの「TUGUMI」の装丁が
山本容子さんの版画だったのです。

多分、吉本ばななさんの本を初めて買ったのは「キッチン」だったと思います。
私はまだ学生だったような。そこまで文学少女ではなかった私が、その本を手にしたのは
たしか話題になったからということと、装丁の素敵さと、作家の名前のインパクトからだったのですが、
読んですぐに彼女の文章のファンになった記憶があります。
それで「TUGUMI」が出た時にすぐに買ったのですが、装丁が気になって調べて
山本容子さんにたどり着いたのだと思います。

なにせ、かなり昔なので、「TUGUMI」も「キッチン」も、蔵書を探しても出てこないのが
ちょっと残念に思っているのですが、(また買い直して読みたいな)
子供が長期休みに本を借りる為に通っていた図書館で、
何度か彼女のエッセイを借りて読んだことも思い出しました。
小説を生み出す人の日常や想いが綴られているのを読むのは、山本容子さんのそれと同じように、
日常のようで日常でないような感覚を味わうことが出来たのです。

最近、吉本ばななさんのwebで発信されている文章を見つけて、
有料会員登録をしました。
時に爆笑し、時にうんうんと頷き、時にそうなんだなあと教えてもらっているようで。
お好きな方はぜひ。読み応えありますよ。

吉本ばなな (私は「どくだみちゃんとふしばな」を購読中。)



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