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JUN 27, 2o21
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”私のお気に入り(仏)”

仕事柄、拘って体にも環境にもいい食材を作っていらっしゃる方や、そんな食材を使って料理される方々と繋がる機会が多くて、とてもありがたいのですが、この「旅をする木」(星野道夫さんの著書と同じ名前ですね)という名前で養鶏や有機無農薬の食材を作っていらっしゃる小野寺さんの卵を届けていただくようになって、数年経ちます。

生きていく上でかかせない「食」に真摯な想いをお持ちである、This Design の定松ご夫妻からご紹介いただいて以来、月に1回宅配で届けていただいていて、初めて食べた時はあまりにも優しい味だったことにびっくりしたのを思い出します。毎月50個の卵を、普段の料理や息子のお弁当にかかさず使っています。

毎回届く箱の中に、一筆箋でかかれた奥様からのメッセージがいつも心温かくて、私は払込書の空いたスペースにメッセージを書いて…というのが楽しみでもありました。つい先日、その一筆箋のメッセージが2枚入っていたので、あれ?と思って読んでいたら、IN THE PASTでの展示に足を運んでくださったこと、SARAXJIJIを気に入ってくださったことなどが書かれていました。流れるような達筆な文字から、とても喜んでくださっている様子が伝わってきて、目頭が熱くなってしまいました。

世の中の大きな流れとは違うかもしれないけれど、そこに流されずに誰かのために、自然のために、これからを担う子供達のために、循環出来るようによりよくしよう、と一生懸命な方を拝見すると、本当に感動します。幸い、私の周りにはそういう方が多くて、出来るだけそういう方々が作っているものや発信されていることを日常に取り入れたいと素直に思っていますし、そういうおつきあいをさせていただいています。微力ながら、私自身もそういう仕事がしたい、と常々思いながら、日々勉強中だからでもあります。この小野寺ご夫妻もそんな存在でした。毎月丁寧に卵を届けてくださる養鶏家とその消費者、という関係だったのですが、その方がSARAXJIJIを気に入ってくださったということが、純粋に嬉しかったのです。

目新しいものとしてメディアで過多に発信されているもの、人が殺到しているところに触れるのは少々ニガテで、信頼している人からのご紹介とか、自分が大事にしていることと同じところに共感するものを感じるとか、そんなモノ・コトに関心が向かいます。体にいい、地球に優しいなどなど、そんな上書きだけで選ぶというよりは、活動しているその背景、その人の想い、そしてそれを、その人たちを、人として自分が好きだと思えるかどうか。そんな基準で選んでいる私の「お気に入り」が少しでもあるということは、とても幸せなことだなと感じます。若い時は、忙しさや関心の薄さや、経験値のなさでたどり着けなかったそういう価値観は、齢を経るごとにしっくりと「本来の自分」の価値観として近づけているような気がします。手に取ったり、購入に至るまでのやりとりも心地よく、それをいただくことが心と身体にとっていいと感じられる。そんなものを、少しずつ「お気に入り」に入れていきたいと思います。

先日、海外の仕事でお世話になった方が体調が優れないと聞いて、私の「お気に入り」をいくつか国際郵便で送ったところです。数年前にPARISの展示でご一緒したyasoの松葉茶、無農薬大豆とまたいちの塩などがセットになっている材料で毎年作る自家製味噌、いつまでたってもパリパリで食べるのが止まらない岬海苔、という組み合わせ。日本人には日本人の身体に合った食材ってあるんだなーと、海外で仕事をする度に思っていたので、これで彼女の体調が少しでも回復しますようにと願って。



2019年のPARIS展示でご一緒したyasoさん。毎朝ギャラリーに着いたら、K女史が淹れてくれたこのお茶をいただくのが日課だったことが懐かしい。この頃からパッケージが変わって、またよりシンプルなデザインになってます。今回、我がアトリエ分も注文したので、時々赤松とジンジャーレモンを淹れていただいてます。